(writtenafterwards)の2017-18年秋冬コレクションは、の続章。花にあふれ、そこには女性の強さと儚さ、そして美しさが描き出されている。 デザイナー山縣のインスピレーション源、それは過酷な時代を生き抜いた戦時中の女性。前シーズンの彼女たちの結婚式を思い描いたという服は、混沌とした時代に反するような華やかなムードで覆われていた。今回は花の主張の仕方がより豊富になっている。 象徴的であった丸い服は、オバマ大統領が広島の原爆ドームで慰霊碑に献花したリースをそっくりそのまま再現。毛足の短いをベースとし、その上に刺繍でできた立体的な花が所狭しと咲き誇っている。 引き続くものもあれば、新たに当時を象徴するアイテムもある。戦時中に女の子がかぶっていた頭巾は、厳しい時代を思わせる余地はこれっぽっちもない。花が連なるように乗せられていて、赤い色味が刺激的でありながら愛くるしい。の重なりと立体的なが相まって、花びらを着るといった感覚だ。 フロッキー加工や敷き詰められた精緻な刺繍、和服に用いられるような織り物などは適度なハリを持たせ、にを利かせたようなシルエットにマッチしている。特に当時の女性たちの正装とでもいえようレトロなスカートとジャケットの組み合わせは、360度どこから見ても体との空間が絶妙に図られた美しいシルエットだ。 厳しい時代を生きた女性たちを想像しているはずなのに、完成したのは思わず笑顔がこぼれそうな服。芯の強い女性を思い描いたからこそ、楽し気で華やかで、それでいて繊細。そんなコレクションに導かれたのではないだろうか。